【血糖値・HbA1cが高いと言われたら】糖尿病の仕組みと三大合併症を防ぐ血流の整え方
「健康診断で血糖値やHbA1c(エーワンシー)の数値が高めと言われたけれど、体はどこも痛くないし元気だから大丈夫」
そう思って、検査結果をそのまま机の引き出しにしまい込んでいませんか?
糖尿病の初期は、痛みや強いだるさといった自覚症状がほとんどありません。そのため、「まだ大丈夫だろう」と見過ごしてしまいがちです。
けれど、症状がない間にも、体の中では少しずつ血管や細胞への負担が積み重なっています。
「まだ薬を飲むほどではないと言われたけれど、このままでいいのかな……」 「家族に糖尿病の人がいるから、自分も心配になってきた」
そんな不安を抱えている方に、今回は「体の中で一体なにが起きているのか」、そして「どうすれば体を守ることができるのか」を、薬局のカウンターでお話しするように分かりやすく丁寧にお伝えしていきますね。
今回の内容は京都FMのラジオ番組でもお話ししたテーマです。まずは動画でも解説していますので、よろしければこちらをご覧ください。
高血糖と「HbA1c」のリアルな姿
私たちがご飯やパン、甘いものなどを食べると、体の中で「ブドウ糖」に分解されて血液中に入ります。この糖分は本来、すい臓から出る「インスリン」というホルモンの働きによって全身の細胞へ運ばれ、私たちが元気に動くためのエネルギーとして使われます。
ところが、甘いものの摂りすぎや運動不足、あるいはインスリンの働きが弱まることが続くと、使い切れなくなった糖が血液の中にどんどん溢れてしまいます。
これを身近なものに例えるなら、「サラサラと流れていた小川に、お砂糖がどっさり溶け込んで、ベタベタのシロップのようになってしまった状態」です。これが高血糖です。シロップのように粘り気が出た血液は、スムーズに流れることができなくなってしまいます。
そして、健康診断でよく目にする「HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)」という数値。これは、赤血球の中にいる「ヘモグロビン」というタンパク質に、どれくらい糖がこびりついているかを示す割合(%)です。
ヘモグロビンには、「全身の隅々まで酸素を届ける」という大切な役目があります。 しかし、血液中の糖分が多い状態が続くと、ヘモグロビンに糖がベッタリとくっついて離れなくなってしまいます。
糖がこびりついてしまったヘモグロビンは、目的地にたどり着いても、細胞へうまく酸素を手渡すことができなくなります。つまり高血糖とは、血液の流れが悪くなるだけでなく、「全身へ酸素を運ぶ力そのものが落ちてしまう状態」なのです。
なぜ恐ろしい合併症が起こるのか
糖尿病の本当に怖いところは、血糖値の数字そのものよりも、その先に起こる「合併症」にあります。
血液の流れが悪くなり、さらに酸素も届かなくなると、体中の細胞たちは深刻な「酸欠状態」に陥ります。息ができない状態が長く続くと、細胞は元気を失い、やがて傷ついて壊れていってしまいます。
特にその影響を真っ先に受けてしまうのが、体の中でも髪の毛よりも細い「毛細血管」が集まっている場所です。これが、糖尿病の三大合併症と呼ばれるトラブルです。
1. 手足の先(末梢神経障害)
心臓から一番遠い足の先などは、細い血管に血液と酸素が届きにくくなります。すると神経が酸欠を起こし、手足のしびれや冷え、ピリピリとした違和感が出始めます。悪化すると痛みを感じにくくなり、小さな傷から細胞が壊死してしまうこともあります。
2. 目(糖尿病網膜症)
目の奥にある網膜には、光を感じるための細い血管がびっしりと張り巡らされています。ここがつまったり破れたりすると、視力が落ちたり、視界がかすんだりして、ひどい場合には失明につながることもあります。
3. 腎臓(糖尿病腎症)
腎臓は、血液中の老廃物をろ過して尿をつくる「精密なフィルター」のような臓器です。このフィルター部分も毛細血管の集まりです。血管が目詰まりを起こすと老廃物をお掃除できなくなり、やがて人工透析が必要になるケースもあります。
痛みがないからといって放っておくと、体の奥深くにある毛細血管の先で、細胞たちが静かに酸素不足で悲鳴を上げている――これが、合併症が進んでいくメカニズムのリアルな姿です。
注意すべき危険な症状
初期は自覚症状がない糖尿病ですが、進行してくると体からサインが出始めます。次のような変化を感じたときは、決して見過ごさず、早めの対処が必要です。
- のどが異常に渇き、水分をたくさん飲む(血液の糖を薄めようとするサイン)
- トイレ(おしっこ)の回数や量が増える
- しっかり食べているのに、体重が急に落ちてきた
- 寝ても抜けない強い疲労感やだるさがある
- 手足の先がピリピリとしびれたり、ジンジンと冷えたりする
- 足の裏に何かが張り付いているような違和感がある
- 目がかすむ、視界がぼやける
「少し疲れているだけかな」「年のせいかな」と自己判断せず、健康診断の数値をしっかり見直してあげることが大切です。
日常生活でできる予防や対策
糖尿病を予防し、数値を落ち着かせるためには、毎日の生活リズムを無理なく整えることが一番の近道です。
「良かれと思って…」果物の食べすぎに注意
ご相談を受けていてよくあるのが、「お菓子を我慢する代わりに、体に良さそうだから毎日たくさん果物を食べている」というケースです。
実は、ここに落とし穴があります。今の果物はとても甘くて美味しいものが多く、糖度が非常に高くなっています。また、果物に含まれる「果糖」は、お米やお菓子などの糖(ブドウ糖)とは体内での使われ方が違います。
ブドウ糖が全身で使われるのに対して、果糖は腸から吸収されると、真っ先に「肝臓」へ運ばれます。そのため、摂りすぎると中性脂肪になりやすく、高血糖を招く大きな原因になってしまうのです。「果物は体に良いからいくら食べても平気」と思わず、量や食べる頻度を上手に調整していきましょう。
血糖値を急上昇させない食べ方の工夫
- 野菜や海藻から食べる:食物繊維を先に胃に入れておくことで、糖の吸収がゆるやかになります。
- よく噛んでゆっくり食べる:ひと口20〜30回ほど噛むことで、血糖値の急激な上昇を抑えられます。
- 夜遅い時間の炭水化物を控える:夜間は消費エネルギーが少ないため、余分な糖が血液中に残りやすくなります。
食後の軽い運動で糖を消費する
食後30分〜1時間ほどのタイミングで、15分程度の軽いウォーキングや足踏み、軽いスクワットなどを行うのが効果的です。使われずに余りそうな糖を、筋肉がすぐにエネルギーとして使ってくれます。
血流を整えて「糖を燃やせる体」へ
糖尿病を根本から見つめ直すときに、とても大切になるのが「血流」と「酸素」です。
細胞が糖を取り込んでエネルギーとして燃焼(代謝)するためには、十分な酸素が必要です。しかし、高血糖になると以下のような「負のスパイラル」が起こってしまいます。
- 高血糖で血液がドロドロになる(血流が悪くなる)
- 細い血管の先まで酸素が届かなくなる(細胞の酸欠)
- 酸素が足りないため、細胞が糖をうまく燃やせない
- 燃え残った糖が血液中に溢れ、さらに血糖値が上がる
この悪循環を断ち切るために、東洋医学・漢方では「活血(かっけつ)」という考え方を大切にします。活血とは、滞ってしまった血液の流れをサラサラとスムーズにしてあげることです。
血流が整うと、今度は嬉しい「正のスパイラル」が動き始めます。
- 全身の毛細血管まで血液がしっかり届く
- 細胞の隅々に十分な酸素が手渡される
- 酸素を使って、血液中の余分な糖がしっかり燃焼される
- 糖が消費されることで、自然と血糖値が落ち着いていく
単にお薬の力だけで一時的に数値を下げるだけでなく、「自分の力で糖をしっかり燃やせる体」を取り戻していくこと。これが、漢方が目指す根本的な体質づくりです。
まとめ
健康診断の血糖値やHbA1cの数値は、いわば体からの「少し血液の流れがベタついて、細胞が息苦しがっているよ」という優しいサインです。
自覚症状がない今の時期こそが、これからの健康を守るための大切なタイミング。
無理な我慢を重ねるのではなく、日々の食事の選び方を見直し、全身の血流を良くしてあげることで、体はしっかりと応えてくれます。ご自身の体の声を丁寧に聴きながら、健やかな毎日を一緒に目指していきましょう。
神戸市東灘区の「漢方の桜井薬品」では、単に漢方をお渡しするだけでなく、あなたのお隣に座って、毎日の食事や生活習慣も含めた丁寧な健康相談を行っています。
- 高血糖・糖尿病の予防と合併症対策(HbA1cが高め、手足の冷え・しびれ、血液をサラサラにしたいなど)
- 免疫系のトラブル(がん、リウマチ・橋本病、アトピー、コロナ後遺症など)
- 自律神経の乱れ(睡眠障害、耳鳴り・めまい、慢性疲労、起立性調節障害など)
- 年齢にともなうお悩み(更年期障害〈男女とも〉、物忘れ、目のトラブル、夜間尿、ひざの痛み、シミ・しわなど)
- 漢方ダイエット(高血圧・高脂血症・糖尿病、脂肪肝、代謝の低下、便秘、むくみなど)
当店では、採血をすることなく、その場で指先の毛細血管の形や血液が流れる様子を確認できる「血管スコープ」をご用意しています。モニターの画面を通して、ご自身の血流のリアルな姿をその場で一緒に見ていただくことができますよ。
病院の検査数値を見ながら、今どのような食養生や漢方が必要なのか、専門家の視点から分かりやすくアドバイスいたします。 気になる症状や、「これって年齢のせいかしら?」と思うような小さな不安でも、どうぞお気軽にご相談くださいね。


