第57回放送 間質性肺炎と漢方の可能性 ― 息苦しさと向き合うあなたへ 京都リビングラジオ
京都リビング FM845で毎週月曜日に放送される、「人生サクラ咲く」のコーナーで、「間質性肺炎と漢方」についてお話させていただきました。その時の話しの内容を少しご紹介いたします。
「肺が硬くなって、息苦しくなる病気」──それが間質性肺炎です。
近年、この病気に悩まされる方が増えてきています。その背景には、高齢化の進行や新型コロナウイルスの後遺症の影響があると考えられています。コロナ感染後に肺の線維化が進んだという報告も少なくありません。
間質性肺炎には2つのタイプがある
間質性肺炎は大きく分けて、原因がはっきりしている「二次性」と、原因が特定できない「特発性」に分類されます。
二次性間質性肺炎の原因には以下のようなものがあります:
- 薬剤(抗がん剤・抗生物質・免疫チェックポイント阻害剤など)
- 自己免疫疾患(関節リウマチ・シェーグレン症候群など)
- 放射線(肺がん・乳がん治療における)
- カビや農薬などへの過敏反応
- 感染症(特に新型コロナなど)
この場合、原因を取り除くことで症状が改善するケースもあります。
一方で、特発性間質性肺炎は原因が特定できないため、根本治療が難しく、進行を抑えるための「抗線維化薬」や酸素療法が主な対処法になります。
急に悪化する「急性憎悪」にも注意
間質性肺炎は、基本的には徐々に進行しますが、ある日突然、急激に悪化する「急性憎悪」が起こることもあります。原因は感染症や喫煙などが考えられますので、日頃からの生活管理が非常に重要です。
漢方ができることとは?
間質性肺炎に対する漢方のアプローチは、大きく2つあります。
1. 免疫の正常化
間質性肺炎では、免疫が過剰に働いて線維化が進んでしまうことがあります。漢方は、免疫を抑えすぎることなく、過剰な部分だけを整えるというバランス調整が可能です。
これは、感染症にかかりやすくなるリスクを抑えるうえでも重要な視点です。
2. 酸素供給率の向上
息苦しさの原因は、肺の線維化によって血中の酸素供給が滞ることです。漢方では「血流改善(駆瘀血)」を得意としており、酸素を運ぶ力を高めるサポートが期待できます。
実際に、駆瘀血剤の使用後に、血中酸素飽和度が改善されたり、症状が軽減したりした例もあります。さらに酸素供給が改善されることで、免疫への好影響も期待でき、線維化の進行にもブレーキをかけられる可能性があるのです。
実際の変化と希望
漢方による取り組みで、「10日ほどで息苦しさが和らいだ」「KL-6の数値が改善した」という例もあります。
完治が難しい病気ではありますが、「症状を和らげる」「進行をゆるやかにする」「生活の質を高める」といった視点で、漢方は力になれると私は感じています。
「息をするのがつらい」そんな毎日を少しでも楽に、そして前向きに過ごしていただくために──。
お悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。あなたの体質や状態に合わせた、無理のない漢方のご提案をさせていただきます。