第53回放送 変形性関節症について 京都リビングラジオ
京都リビング FM845で毎週月曜日に放送される、「木下晃一☆キラキラ」内、「人生サクラ咲く」のコーナーで、変形性関節症についてお話させていただきました。その時の話しの内容を少しご紹介いたします。
変形性関節症とは?
主な症状
膝や股関節が変形し、痛みを伴います。特に、長時間の歩行や階段の上り下りが辛く、日常生活に支障をきたす方が多いです。
原因
軟骨の摩耗が主な原因です。軟骨がすり減ることで、関節に衝撃が直接伝わり、痛みや変形が進行します。
一般的な治療法
病院での対処
病院では、まず電気治療により血行を促進し、炎症を和らげるアプローチが行われます。
また、ヒアルロン酸注射やロキソニンなどの痛み止めによって、症状の緩和が図られます。
手術の選択肢
症状が進行した場合、最終手段として人工関節置換術が行われることがあります。
- 人工関節の耐久年数は10年~20年とされ、寿命が尽きた場合は再手術が必要となりますが、2回目以降の手術はリスクが高く、成功が難しいとされています。
- そのため、術後の持続性を高めるためにも、過度な運動の回避や、特に体重が多い方は減量に努めることが重要です。
手術後の生活
人工関節を入れることで痛みは大幅に軽減されるものの、
- 動きに制約が生じる
- 正座が難しいなど、従来の動作がそのままは実現できないケースが多いです。
手術自体に対する不安や恐怖心から、なるべく手術を避けたいと考える方も少なくありません。
軟骨がすり減る原因は?
関節の健康を考える上で、軟骨の役割は非常に重要です。軟骨がすり減る原因やその構成成分、そして栄養や血流の関係について、詳しくご紹介します。
1. 軟骨がすり減る主な原因
軟骨の摩耗は、以下のような要因によって引き起こされます。
- 使いすぎ
過度な運動や、肥満による足への負担が軟骨に過大なストレスを与え、摩耗を促進します。 - 老化
加齢に伴い、軟骨の弾力や再生能力が低下するため、自然と軟骨がすり減っていきます。
2. 軟骨の構成成分
軟骨は、その独特の弾力性と衝撃吸収力を維持するために、以下の成分から構成されています。
- 水分:60~80%
軟骨の大部分は水分で構成され、その保水力が柔軟性を支えています。 - Ⅱ型コラーゲン:15~20%
コラーゲンにはⅠ型とⅡ型があり、Ⅰ型は主に肌に必要とされるのに対し、軟骨には特にⅡ型コラーゲンが不可欠です。 - プロテオグリカン:3~5%
プロテオグリカンは、軟骨内の水分を保持するために非常に重要な成分です。1970年代に発見された当初は、抽出が困難で1gあたり3千万円という超高級成分でした。そこで、体内でプロテオグリカンを合成するための原料となるグルコサミンやコンドロイチンが、サプリメントとして広く利用されるようになったのです。現在では抽出技術が向上し、プロテオグリカン自体が、サプリメントなどにも利用されるようになりました。プロテオグリカンは、保水力が断トツに高く、軟骨内の水分を維持するだけでなく、コラーゲンの合成も活発にする効果があります。 - ヒアルロン酸:約1%
ヒアルロン酸もまた、軟骨の潤滑性や弾力性に関与しています。

3. 栄養成分と軟骨への供給の課題
軟骨には血管が存在しないため、栄養成分(コラーゲン、プロテオグリカンなど)が直接届く割合は限られています。特に、以下のような状態では供給が一層難しくなります。
- 血流の悪化
高血圧、高脂血症、糖尿病などを抱えている方は、血流が悪化しがちです。栄養素や酸素を運ぶ血液の流れが滞ると、軟骨内に必要な成分が十分に届かなくなります。 - 酸素供給の低下
軟骨には「軟骨細胞」と呼ばれる細胞が存在し、これらの細胞が軟骨内でⅡ型コラーゲンやプロテオグリカンを作り出しています。この合成過程には酸素が不可欠ですが、血流が悪いと酸素供給が不足し、軟骨細胞の働きが低下してしまいます。
4. 軟骨を健康に保つために
軟骨の摩耗を防ぎ、健康な状態を維持するためには、以下の対策が有効です。
- 適度な運動と休息のバランス
過度な運動は軟骨に負担をかけるため、適度な運動と十分な休息を心がけることが大切です。 - 体重管理
肥満は足への過剰な負担となるため、適正な体重を維持することで軟骨への負担を軽減できます。 - 血流改善
高血圧や高脂血症、糖尿病の管理を通じて血流を改善し、軟骨細胞に十分な酸素や栄養素が届くようにすることも、軟骨の健康には欠かせません。
膝や股関節が痛くなってきたときの対処法
関節の痛みは、単に「老化」や「使いすぎ」だけではなく、実は炎症が起こっているサインです。軟骨がすり減ると、その部分に骨が形成され、骨棘(こっきょく)が生じます。この骨棘に対して免疫が反応すると、さらに炎症が引き起こされ、炎症が進むと軟骨の摩耗が加速するという悪循環に陥ります。
◆ 炎症を鎮めることが最優先
この悪循環を断ち切るために、まずは炎症を抑えることが最優先されます。
- 病院での治療
一般的には、ロキソニン、ボルタレン、イブプロフェンなどの抗炎症薬が用いられます。
しかし、これらの薬は腎臓に負担がかかるため、高齢者や慢性腎臓病(CKD)の方には長期服用が推奨されません。
◆ 漢方薬のアプローチ
そこで注目されるのが漢方薬です。漢方薬は以下の特徴を持っています。
- 炎症抑制と血流改善
漢方薬は、炎症を抑える効果だけでなく、血流の改善にも優れており、軟骨細胞に十分な栄養や酸素を届けるサポートをします。 - 副作用のリスクが低い
長期にわたる治療でも、体への負担が少ないため、安心して続けることができます。 - 即効性を実感する場合も
一般的に「漢方は効き目が出るまで時間がかかる」と言われがちですが、実際にお店で漢方を試飲していただくと、数分後に「何か楽になった」と感じる方も多くいらっしゃいます。 - 手術までの時間稼ぎにも
手術が必要なほど症状が進んでいる場合でも、漢方治療を取り入れることで痛みを和らげ、手術までの期間を延ばす効果が期待できます。
◆ おわりに
関節の痛みや不快感は、炎症と軟骨摩耗の悪循環が背景にあります。まずは炎症をしっかりと鎮めることが、今後の関節の健康を守るための第一歩です。
高齢者や腎臓への負担が心配な方は、病院での抗炎症薬だけに頼らず、漢方薬による治療も検討してみてはいかがでしょうか。
少しでもお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。あなたの生活の質を向上させ、痛みの少ない日常を取り戻すお手伝いをいたします。